開催中の展覧会
両 国

地図で読み解く メディシン・インフラ
鴻池朋子サマースクール開講
2026年8月2日(日)- 9月6日(日)
※会期中の日曜日もオープンいたします。
オープニングレセプション:8月2日(日)17:00 - 19:00
営業時間 :火曜日 – 日曜日 11am – 7pm
月曜日・8/14(金)- 8/17(月)休み
GALLERY MoMo 両国では8月2日(日)から9月6日(日)まで鴻池朋子の個展『地図で読み解くメディシン・インフラ 鴻池朋子のサマースクール』を開催いたします。
2020年のアーティゾン美術館での個展と同時にCOVID-19、東京2020オリンピック、ウクライナ侵攻、能登半島地震、大阪・関西万博2025と、ここ数年の流れの中で鴻池朋子は様々な制作を行なってきました。
2019年より続く瀬戸内芸術祭の大島青松園の<リングワンデルング>では、昭和3年に掘られた山の1.5kmの周回路を、 森の“メンテナンス”という手立てで制作を続け、2020年より続く<みる誕生>では、学芸員や観客と共に視覚優先に造られた美術館を身体的な鑑賞空間へと組み替え、また、作品収蔵という歴史の継承方法を、人間のモノづくりの視点から再考も始めました。
<物語るカーテンプロジェクト>では、2025年の能登半島地震後に建設された仮設住宅166戸に、「各部屋に一箇所小さな手作りのものを」と全国の手芸有志の協力によってカーテンを制作し、その刺繍モチーフはウクライナの戦争難民の詩から描きました。鴻池にとっては何もかも初めての“画材”との出会いと制作でしたが、これは誰もがそうであるように、普通に生きていくことと何ら相違ありません。
そして、2023年末頃から始まった<メディシン・インフラ>とは、これらの活動の根幹にうっすらと広がる小径のようなものです。作品を一般に預かってもらい共に生活してもらおうという試みで、昨年の万博で展示されたオオカミベンチ10体も含め、現在、鴻池の作品たちは収蔵庫から旅立ち、各地の施設や一般家庭へと無償で貸し出しが始まっています。
本展では、このような独自な仕組みがなぜ生まれて来たのか、ここ数年の報告会も兼ねて、鴻池の動きを地図に落とし込み、プランスケッチ、材料、テキスト、写真や映像資料などと共にその仕事を俯瞰します。また制作中のオオカミベンチや指人形などの新作、小さな講話や朗読会も開催されますので、ぜひ皆様お誘い合わせの上、東京の避暑地、両国のサマースクールへお立ち寄りください。

サマースクール・新しい先生は毎回生まれる
A new teacher is born every time
青森県美での『鴻池朋子展 メディシン・インフラ』で生まれた、様々な領域の方々と鴻池作品が交差するプロジェクトラボ「新しい先生は毎回生まれる」。今回、登壇する先生たちをご紹介いたします。
動物、彫刻、触る、遊び、移動、地形、記録、母語、収蔵と所有、墓…etc.様々なトピックから授業を引き出し、動物が“ものをつくること”を深く掘っていきます。詳細は順次公開・更新してまいりますので、最新情報をご確認ください。皆様のご参加をお待ちしております!
⚫︎8月7日(金) 17:00〜19:00|新しい先生:藤沢 レオ(彫刻家)・鴻池 朋子(アーティスト)※終了しました。
⚫︎8月8日(土) 17:00〜19:00|新しい先生:村井 まや子(おとぎ話研究家)・鴻池 朋子(アーティスト)※終了しました。
⚫︎8月21日(金)15:00〜19:00|新しい先生:大山 功一(ゲームデザイナー)・鴻池 朋子(アーティスト)※終了しました。
⚫︎8月22日(土)16:30〜18:40|新しい先生:浅沼 秀治(建築家、Team ZOO アトリエモビル代表取締役、NPO法人有形デザイン機構副理事長)・小川 順子(グラフィックデザイナー)・鴻池 朋子(アーティスト)※終了しました。
⚫︎8月29日(土)16:30〜18:00|新しい先生:司 修(小説家、画家)・鴻池 朋子(アーティスト)※終了しました。
⚫︎8月30日(日)15:00〜17:00|新しい先生:坂本 里英子(セゾン現代美術館学芸員)・鴻池 朋子(アーティスト)※終了しました。
⚫︎9月5日(土)16:00〜18:00|新しい先生:水谷 淳子(前耳鼻咽喉科開業医)・鴻池 朋子(アーティスト)
⚫︎9月6日(日)13:30〜15:30|新しい先生:藪前 知子(東京都現代美術館学芸員)・水田 有子(東京都現代美術館学芸員)・鴻池 朋子(アーティスト)
作家在廊日→
授業スケジュール
サマースクール「新しい先生は毎回生まれる」Vol.1
⚫︎8月7日(金) 17:00〜19:00 対談
タイトル:「千人が鉄をたたく話」
新しい先生:藤沢 レオ(彫刻家)・鴻池 朋子
定員:15名(イベント中も展覧会はご覧いただけますが、一部ご覧いただけない箇所もございます。予めご了承ください。)
授業料:¥550
終了いたしました。

藤沢 レオ
彫刻家
Photo Fujiki Masanori

鴻池 朋子
アーティスト
内容:
今回は北海道から友人の彫刻家、藤沢レオさんに来てもらって小さなお話し会をします。
レオさんは各地で、たくさんの方々に熱い鉄をハンマーで叩いてもらうワークショップを行ってきました。これまで二千人以上の方々が、老若男女問わず鉄を叩く体験をされたそうです。そこで、あらためてレオさんが驚いた事とは、「誰でも鉄を叩けるんだ!」という発見だったそうです。
人にはできることできないこと、得手不得手はありますが、それでも鉄は叩ける。これは、素材と道具と生き物の体がすっと合って、地球を捉えた時。こんなに気持ちのいいことはない。だから私たちは鉄と共に生きてきたのかなと納得しました。
私たち生物の身体は様々です。手と自然界にあるものを、道具がつないでくれる。そういう話をお聴きしたいと思っています。
藤沢 レオ(ふじさわ れお)
1974年北海道虻田郡洞爺湖町生まれ。1997年道都大学美術学部デザイン学科卒業。現在、北海道大学文化人類学研究室博士後期課程。
鉄、木、繊維など多様な素材を用い、工芸、彫刻、インスタレーション、舞台美術などを横断しながら制作を行う。
自身の死生観を背景に、種子をモチーフにした鉄彫刻「パサージュ」、日常の隠れた要素を可視化する糸による彫刻「不在の存在」、身近な幸福を見つめる鉄線による「静かな日」、さらに近年は人類の生存の起源や場の発生を思索する「場の彫刻」など、一貫して深遠なテーマに向き合っている。
サマースクール「新しい先生は毎回生まれる」Vol.2
⚫︎8月8日(土) 17:00〜19:00 対談
タイトル:「エストニアの小さな教室」共同墓地でのワークショップ
新しい先生:村井 まや子(おとぎ話研究家)・鴻池 朋子
定員:15名(イベント中も展覧会はご覧いただけますが、一部ご覧いただけない箇所もございます。予めご了承ください。)
授業料:¥550
終了いたしました。

村井 まや子
おとぎ話研究家

鴻池 朋子
アーティスト
内容:
昨年11月、鴻池はバルト三国のエストニアのタルトゥ大学の学生たちと、共同墓地のRaadi Cemeteryで、指人形ワークショップ <Hand Puppets Traveling Between Forests and Humans>を行いました。まず最初に、日本で鴻池が各学生の名前だけを聞いて、その発音を元に「呪文」に置き換え、さらにその呪文のイメージで指人形の頭をつくりました。次に、その指人形の頭と呪文をエストニアのタルトゥの学生たちに送り、学生たちには各自の指人形のボディや服を、ワークショップ当日までにつくっておいてもらうことにしました。一方で、鴻池は授業をするための「森」を事前にGoogleマップで検索し、さらにエストニアに到着してからの数日間、タルトゥの街を歩いて適度なサイズの「森」探しました。
今回、この授業を鴻池とともに企画された村井まや子氏を迎えて、記録写真と共に、森、名前、人形、墓、母語などについて語り合います。また、首都タリンで開催されたエストニア最大の手芸フェアSt. Martin’s Fairに参加し、<物語るテーブルランナー>の展示とお話集めをしたご報告などもいたします。
村井 まや子(むらい まやこ)
おとぎ話文化研究者。単著にFrom Dog Bridegroom to Wolf Girl: Contemporary Japanese Fairy-Tale Adaptations in Conversation with the West (2015)、Entangled Paths: Multispecies Fairy Tales in Art and Illustration (2026)、編著にRe-Orienting the Fairy Tale: Contemporary Adaptations across Cultures (2020)などがある。美術展Fur Story: Tomoko Konoike (Leeds Arts University, 2018)、Storymakers in Contemporary Japanese Art (Japan Foundation Sydney Gallery, 2022)のキュレーションを担当。現在、多様な種が絡まり合う物語として世界のおとぎ話を読み直すプロジェクト〈Multispecies Fairy-Tale Library〉に取り組み、さまざまな分野との共同研究を進めるとともに、図書館やギャラリーでの絵本展と読書会を開いている。自宅の屋上でミツバチを飼っている。
サマースクール「新しい先生は毎回生まれる」Vol.3
⚫︎8月21日(金)17:00〜18:00 対談
タイトル:遊びじゃないのよゲームは
新しい先生:大山 功一(ゲームデザイナー)・鴻池 朋子
定員:15名
授業料:¥550
終了いたしました。
当日、15:00〜17:00 18:00〜19:00は大山氏と作家が在廊しカードゲームをします。ご自由にご参加ください。
参加費:無料 予約不要
※内容が変更になる場合がございます。詳細はウェブサイトにてお知らせいたします。

大山 功一
ゲームデザイナー

鴻池 朋子
アーティスト
内容:
ゲームデザイナーの達人、大山功一さんをお迎えしてカードゲームとお話をします。
渋谷の雑居ビルの2階。かつて、小さなおもちゃの企画会社で隣同士の机に座った大山功一さんと鴻池。大山さんは「ゲゲゲの鬼太郎ハウス」、鴻池はバンダイがマテルから引き受けた日本版の「バービーハウス」を、それぞれ任されてデザインしていました。そこでは、戦隊ロボ系、トランスフォーマー系、フィギュア系、カードやボードゲーム、プリスクールトイ(幼児玩具)、初期のファミコンゲームなどを企画デザインする、デザインや工業系の学校を出た若いデザイナーたちが10数名働いていました。まだオタクという言葉も存在しない頃です。一般的には子どもは完全に大人の社会の外部にあって、玩具もそのデザインも同様に、幼児という“未熟な”ものとして扱われていたように思います。その会社は後になくなってしまうのですが、おもちゃのデザインは、二人に大きな影響を与えていることは確かです。
これまで鴻池は、大山さんのディレクションで、作品のイメージキャラを使ったカードゲームの「精霊のババ抜き」、「冬カルタ」や、ワークショップ「石を引く」をつくり美術館で行なってきました。当日はそれらのゲームをしながら、カードゲームの組み立て方やゲームと遊びの違いなど、お話を伺っていきます。
大山 功一(おおやま こういち)
「ポケモンカードゲーム」のゲームデザイン(遊び方ルールの制作)や、「MOTHER2 ギーグの逆襲」のアートディレクター(キャラクターデザイン、ドット絵なども)をつとめ、現在は個人のゲームブランド「オーヤマゲーム」でゲームデザイン&イラスト&パッケージデザインなど、1人でカードゲームを50種類以上制作している。
2013年からは成安造形大学の客員教授に就任し、ワークショップ授業を担当している。
近年は、メジャーゲームとして「ポケモンババ抜き」「ポケモンタルカ」「ポケモンシュシュシュ!」などアナログゲームのゲームデザインをしている。
サマースクール「新しい先生は毎回生まれる」Vol.4
⚫︎ 8月22日(土)16:30〜18:40 (途中10分休憩)
タイトル:「建築とデザインに よい風が吹き」
新しい先生:浅沼 秀治(建築家、Team ZOO アトリエモビル代表取締役、NPO法人有形デザイン機構副理事長)
小川 順子(グラフィックデザイナー)・鴻池 朋子(アーティスト)
定員:15名
授業料:¥550
時間割り:
16:30〜17:00 デザインについて/小川・鴻池
17:00〜17:30 建築について/浅沼・鴻池
(10分休憩)
17:40〜18:40 3人で語る 最後10分質疑応答
※内容が変更になる場合がございます。詳細はウェブサイトにてお知らせいたします。

浅沼 秀治
建築家、Team ZOO アトリエモビル代表取締役、NPO法人有形デザイン機構副理事長

小川 順子
グラフィックデザイナー

鴻池 朋子
アーティスト
内容:
東北の震災以来、建築家の浅沼秀治さんと再会したのは、2023年の8月6日、福島県の常磐線の相馬駅でした。
私は、東北太平洋沿岸の6mの防潮堤(延べ数百キロに及ぶ)に、その傾斜を利用して「すべり台」をつくって、海に飛び込んでいくような遊びができないかなあと考えていて、よく仕事の合間に雑談程度に話していました。雑談で話していたのは本気だった事の裏返しで、誰もこんな途方もないプランを、まに受けないだろうと思っていたからです。けれども浅沼さんはそのプランに、面白いと反応してくださいました。そして、その私のプランスケッチを何気に浅沼さんに見せたのは、グラフィックデザイナーの小川順子さんでした。(小川さんはいつも気づかないように物事を正確な方向へトスします)
それならばと、実際に相馬の防潮堤に下見に行くことになりました。相馬の海岸でアオサ海苔漁をし、農家でもある遠藤さんという頼れるおっちゃんに車を出してもらいます。遠藤さんは鼻が効く人です。遠藤さんの運転する車の助手席に乗り込んだ私は、後部座席の浅沼さんと約7年ぶり2度目の再会を果たしました。シート越しに挨拶もそこそこに話した事は、すべり台のこと、重力のこと、海と絶縁しないこと、防潮堤を絶縁体にしないこと、コンクリートの基礎のことだったように覚えています。この数分でビジョンが見えました。
その年の年末、浅沼さん、小川さん、相馬の人々と一緒に、幅12mある私の作品の『皮トンビ』を、遠藤さんちの裏山に“飛ばし”ました。ワークショップはいつかやってくる日のための肩慣らしのようなものです。
建築家、デザイナーは、私がしっかり捕まえてはいるけれど、まだここにない像/ビジョンに、物理的な骨組みを設計し、道の交通整理し、重力を与え社会基盤に落とし込んでいきます。お仕事を拝見しながら、それぞれの理念のような部分をお聞きできたらと思っています。
鴻池朋子
建築家。Team ZOO アトリエモビル代表取締役、NPO有形デザイン機構副理事長を務める。現地に赴くフィールドワークや住民参加型のワークショップを重ね、その土地の文脈や発見から建築を導き出すアプローチを特徴とする。空間づくりのワークショップは国内外で多数展開しており、建築設計にとどまらず演劇やダンスの舞台美術の分野でも幅広く活動中。アーティスト・イン・レジデンス「BanART1939」への参加をきっかけに横浜へ活動の拠点を広げ、地域に根ざした実践を続けている。
白井敬尚形成事務所を経て2010年に独立。作品集や人文・学術書を中心とした書籍のほか、美術展の広報物や展覧会図録のデザインを手掛ける。鴻池朋子の図録や著書のデザインも時々担当。
東京都小金井市にて、事務所兼・本にまつわることを考えるスペース「SHOSYO」を主宰。多摩美術大学の非常勤講師などでタイポグラフィや書籍デザインの授業を担当している。
サマースクール「新しい先生は毎回生まれる」Vol.5
⚫︎8月29日(土)16:30〜18:00(途中10分休憩) 朗読会とお話
タイトル:「みる誕生」朗読会とお話
新しい先生:司 修(ただの人)・鴻池 朋子(アーティスト)
定員:15名→30名(追加のお座席を準備いたしました。)
授業料:¥550
チケット予約はこちらから
※内容が変更になる場合がございます。詳細はウェブサイトにてお知らせいたします。

司 修
ただの人

鴻池 朋子
アーティスト
内容:
瀬戸内国際芸術祭での大島での制作活動を振り返りながら、かつてハンセン病療養所であった大島青松園の図書館にあった、古い盲人会の口承で記録された本からいくつかを朗読します。
またスペシャルゲストとして司修さんの参加が決まりました。小説家であり、画家であり、数々の小説家の本の装丁もされてこられた、司修さん(プロフィール:ただの人)をお迎えして、戦争のこと、戦後のこと、震災のこと、そして人間が「遊ぶ」という事をお聞きできたらと思っています。司さんと私の会話は、いつもチグハグな子どものようなものでしたから、人前で対話というのをしたことがあまりないのです。が、子どものような会話だから通じていたようにも思います。今回、司さんは、網野善彦さん(歴史学者)と1988年につくられた『河原にできた中世の町』について、私の狼の毛皮の展示のこととともにお話しされるようです。
どのような朗読になるかは分かりませんが、私もとても興味津々です。どうぞお楽しみに。
鴻池朋子
・『わたしはここに生きた―国立療養所大島青松園盲人会五十年史』(1984年大島青松園)
・『河原にできた中世の町』 網野善彦 文、司修 画(岩波書店)
・『本の魔法』司修 著(白水社)
サマースクール「新しい先生は毎回生まれる」Vol.6
⚫︎8月30日(日)15:00〜17:00(途中10分休憩) 対談
タイトル:「絵が起こる時:アナグマ学芸員は絵で作品をとらえる」
新しい先生:坂本 里英子(セゾン現代美術館学芸員)・鴻池 朋子(アーティスト)
定員:15名→30名 (追加のお座席を準備いたしました)
授業料:¥550
チケット予約はこちらから
※内容が変更になる場合がございます。詳細はウェブサイトにてお知らせいたします。

坂本 里英子
セゾン現代美術館学芸員

鴻池 朋子
アーティスト
内容:
セゾン現代美術館学芸員の坂本里英子さんをお迎えして、他の美術館ではほとんど見られないアーティストと学芸員との徹底的な「遊び」の数々を、2006年の大原美術館個展まで遡り、2009年の東京オペラシティ個展、2015年根源的暴力展などを通して振り返ります。また坂本さんは、鴻池の2024年の青森県美での個展以降、絵を描き、布を縫って作品もつくり始めました。言葉で作品を解説するのではなく、作品を感じた人が自身のものづくりを通して、また別の誰かに伝える。学芸の仕事とは一体何か、ここにとても楽しい学芸員がいることをご紹介いたします。ぜひお気軽にご参加ください。
坂本 里英子(さかもと りえこ)
現代美術を中心に展覧会企画や美術館アーカイブズ構築などに携わる。2006年から鴻池朋子の数々のプロジェクトに関わり、「根源的暴力展」(2015~2016)では企画・ゲストキュレーターを務め、「メディシン・インフラ展」(2024)では、どうぶつのことばと絵による、鴻池との"やりとり"を制作・展示した。
サマースクール「新しい先生は毎回生まれる」Vol.7
⚫︎9月5日(土)16:00〜18:00(途中10分休憩) 対談
タイトル:「みずれえから外にでるな」
新しい先生:水谷 淳子(前耳鼻咽喉科開業医)・鴻池 朋子(アーティスト)
定員:20名
授業料:¥550
※内容が変更になる場合がございます。詳細はウェブサイトにてお知らせいたします。

水谷 淳子
前耳鼻咽喉科開業医

鴻池 朋子
アーティスト
内容:
私が水谷さんと出会ったのは、数年前、聾者である友人から画伯・橋本克己さんの著書『克己絵日記』を見せてもらった事がきっかけでした。漫画風に描かれた、何かの足跡みたいなその絵の線にすぐに惹きつけられ、変で可笑しくてハマってしまったのです。そのご本の発行元が、水谷さんの障害者支援組織「わらじの会」でした。そこは障害のある人もない人も共に街に出て生きよう、というのがモットーだそうです。
克己さんは盲ろう、下半身麻痺などの重複障害を持つ体で、車椅子に乗って近隣の街を豪快に旅し、日記にしていきます。私は時々とても乱暴で直接的な言動をするので、読者として密かに克己さんに共感を持ちました。そして、毎月発行される月刊「わらじの会」の執筆者も、あまりにも様々すぎて奇天烈で、それをまとめておられる水谷さんに興味を持ち、少しずつお話しさせていただくようになりました。1978年に発足した「わらじの会」の活動を母体として、水谷さんたちは1996年に社会福祉法人・つぐみ共生会を設立し、通所(生活介護)の施設「くらしセンターべしみ」を越谷の田んぼの真ん中につくります。
今回のタイトルの「みずれえから外にでるな」は、つぐみ共生会の名前の由来を聞いた時に、水谷さんから教えていただいた言葉です。
『 “つぐみ”とは、越谷あたりの方言で、「部屋にじーっとつぐんでいる」という“つぐむ”というところから取ったそうです。しゃがんでいる、障害者が外に出ないで部屋で「つぐんでいる」ということでしょうか。もう、みんな亡くなっていますが、スタートしたころの人たちは、農家の片隅で「みずれえから外にでるな」と言われて、家の中で生活していた人が多かったのです。』
今回、私は水谷さんに学生運動の最中に東京の医大生であった頃のお話、埼玉に引っ越す辺りのこと、越谷の農家の座敷の奥に“つぐんで”いた姉妹の話をお聞きしたいと思っています。
鴻池朋子
水谷 敦子(みずたに あつこ)
1942年、三重県津市生まれ。1958年、東京の外れに転居。1969年、1年半の卒業試験ボイコットなどを経て卒業。大学病院勤務を経て、1977年、埼玉県春日部市で開業(耳鼻咽喉科)。1978年、障害者の人たちと、“街に出ていこう”“地域で生きる”と「わらじの会」を作り、今に至る。2024年、コロナ禍を経て閉業。
サマースクール「新しい先生は毎回生まれる」Vol.8
⚫︎9月6日(日)13:30〜15:30(途中10分休憩) 鼎談とプレゼンテーション
タイトル:「収蔵と生きものたち」
新しい先生:藪前 知子(東京都現代美術館学芸員)・水田 有子(東京都現代美術館学芸員)・鴻池 朋子(アーティスト)
定員:30名
授業料:¥550
※満席のため受付を終了いたしました。
※内容が変更になる場合がございます。詳細はウェブサイトにてお知らせいたします。

藪前 知子
東京都現代美術館学芸員

水田 有子
東京都現代美術館学芸員

鴻池 朋子
アーティスト
内容:
最終日は、私たちがいよいよ腹を括って考える、人間のモノづくりと地球のことです。
今回の新しい先生のお一人藪前さんとの出会いは、昨年10月、東京都現代美術館で開催された『日本現代美術私観:高橋龍太郎コレクション展』のトークイベントでした。その時展示されていた作品『皮緞帳』(2015年)の前で、私たちは震災と作品についての話をしていたのですが、展覧会が日本を代表する現代美術コレクターの所蔵品展だったこともあり、つい私が、「近代にできた美術館のミッションである、作品をコレクションして残すという歴史の継承方法が、今の地球環境と全く折り合いがつかなくなっている」というような話をしました。作品を作り美術館が収集していけば、いつか地球という“倉庫”は、いっぱいになり限界を迎えます。もちろん、これは時間内で話せることでもなく、トーク終了後に両者に微かなしこりが残りました。そして、私はこの手の話はもうこれっきりかなとも思っていました。なぜなら、かつて美術館含めパブリックセクターというものが、収蔵という本質的な問いに取り組んだ事はなかったからです。
けれども、それから程なくして藪前さんと、美術館のコレクション担当の水田さんから、このテーマで少し話しませんかというご連絡がきました。これには少し驚きました。が、お二人の何か真剣さが伝わってきました。そして改めて「収蔵」「所有」について、考える機会を持ちました。
すると、美術館で働く人たちも同様に、これからの作品収蔵について悩み考えているということがわかってきました。そして美術館だけではなく、私たち含め多くの人々が、家族などが残した遺品の扱いに汲々としているという話にもなりました。これまで疑いもしなかった人間の(人間だけの)歴史の継承という思考が、自分たちの作り出す過剰な物によって矛盾を引き起こしているのです。産業革命以降の近代化のグローバリゼーションは、生産活動を加速し地上に物を供給していきました。現在も基本的には変わっていません。その中には当然、私の作品も入っています。私は生産にかまけて、作品と地球の生きものはどう生きていくのか、考えることをほったらかしにしてきたのでした。
今回、藪前さんと水田さんのお二人に、美術館での収蔵の現状、これからの美術館の機能について率直なお考えを伺います。そして私からは、これからの作品と記録をどのように考えていくか、美術館という社会システムへ向けた、あるプロジェクトを提案したいと思います。未熟な段階のプランですが、哲学的な説得やメッセージではなく、これをスタートとして具体的に動いていけたらと思います。
「収蔵」や「所有」というテーマには、人間一人ひとりの生活、私たちの周りに起こる自然災害や戦争というものも含めた環境、生物全体へ関わる大切なものが潜んでいるように感じるのです。
鴻池朋子
⚫︎作家による講話:作家在廊日をご確認ください。(変更になる場合もございます。)
8月6(木)・7(金)・8(土)・9(日)13:00〜・12(水)・18(火)・21(金)・22(土)・28(金)13:00〜16:00・29(土)14:30〜・30(日)14:00〜
9月4(金)12:00〜・5(土)14:00〜・6(日)12:00〜
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September 2026














