開催中の展覧会
両 国
増子 博子・宮森 敬子|時間をたがやす -二人の実践-
2024年9月14日(土) - 10月19日(土)
オープニングレセプション:9月14日 17:00 -
11:00 - 19:00 日曜・月曜・祝日休み
GALLERY MoMo 両国では、9月14日(土)から10月19日(土)まで宮森敬子と増子博子による二人展『時間をたがやす-二人の実践-』を開催いたします。
一見、二人の作品は異なるようにも見えますが、日々の集積の中で作られていく作品群には移動、自然、記憶、時間といったテーマを共有しています。本展では、そう言ったテーマに二人がどのようにアプローチし、表現しているのかを模索します。
増子博子は、初期より《盆栽》シリーズに取り組んでおり、ペンによって自身がイメージする理想の形を育て、自然と人間の協働という視点で制作してきました。その後、東北の各地を転々とし、その風土で培われたものを作品のインスピレーションにしてきました。
今回展示する作品の1つ《側−カワ−の器》は、人間と自然の関係の妙を考えた《盆栽》シリーズを制作する中で、『もっと内側からめくり返すような』制作をしたいという気持ちから、2013年からスタートしました。様々な土地での生活、その移動の中での出合いに背中を押されるように、一日一点、ドローイングや立体作品として形にしていき、今や増子の制作の核となっていると言います。日々の感覚的な小さな作品の集積は、展示の度にその様相を変容させ、沃野を目指します。
宮森敬子は、日本とアメリカを拠点に活動し、絵画や彫刻、インスタレーションなど多様な表現方法で、個と全体のつながりを探求しています。和紙を樹の表面に当て、手製の木炭でこすり、樹皮のパターンを写し取る「樹拓」という技法を用い、その場所と時間を記録しながら制作を行ってきました。コロナ禍をニューヨークで過ごし、その苦境から回復をテーマにした日々の《樹拓シリーズ》は、現在も《TIME》として続いています。日々集めた樹拓は1000日を超え、本展では1日目から1000日目の作品を展示します。宮森の日々集められる樹拓は、透明なガラスの箱に収められることで、ただの日常の集積から大事な記憶の保存に変わるようでもあります。
二人が生活し、制作してきた場所、環境は、異なりますが、日々の自身の感覚に真摯に向き合い、その感覚を耕すように模索しながら集積された二人の作品を通じて、アーティストの個人的な感覚から普遍的なものを見つけ出すことができれば幸いです。
増子 博子
1982年宮城県生まれ。2008年宮城教育大学大学院教科教育専修修了、2007年にはトーキョーワンダーウォールにおいてTWW賞を受賞し東京都庁での個展を開催、その後、東京、岩手を中心に継続して個展を開催してきました。2009年にトーキョーワンダーサイト本郷でも個展を開き、翌年にはToyota Art Competition(豊田市美術館)にて優秀賞を受賞し、群馬青年ビエンナーレ(群馬県立近代美術館)に入選しました。2018年には「VOCA展」(上野の森美術館)、2020年には「あわいをたどる旅」(秋田県立美術館)、山形ビエンナーレ、2022年には、「地つづきの輪郭」(セゾン現代美術館)、「日常をととのえる」(はじまりの美術館)、2023年には、「IMAをうつす7人」(岩手県立美術館)に参加、今年4月には石神の丘美術館(岩手)にて開催される2人展「COLLECTION+VOL.1 まなざしのあいのり」に参加しました。
宮森 敬子
1964年神奈川生まれ。筑波大学大学院芸術研究科日本画専攻修了。1998年、文化庁新進芸術家海外留学制度により米国ペンシルバニア大学大学院に学び、2000年よりフィラデルフィア、2011年よりニューヨークに拠点を移しました。第6回柏市文化フォーラム104大賞展TAMON賞-谷新の眼大賞(1995)、第16回今立現代美術紙展 大賞(1997)、Leeway Foundation Transformation Award(2008)、The Independence Foundation Fellowships in the Arts(2010)など様々な賞を受賞し、VOCA’97「現代美術の展望—新しい平面の作家達」(上野の森美術館)、「拡兆する美術’97 」(つくば美術館)などのグループ展に参加しています。日本での近年の個展は2020年に「Surfaces of Time」(ギャラリー ときの忘れもの)、2023年に「記憶の海、ローズのプライド」(中村屋サロン美術館)および「宮森敬子」展(ギャラリーこうけつ)、今年1月まで開催の「1000年生きた私 環世界の中で」(mhPROJECTノコギリ二 )などがあります。