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次回展覧会

両 国

風景と創(きず) -山水土瓶こうこう-

岩見晋介(陶芸家)|木村晃基(陶芸家)| 佐々風太(民藝研究家)|濱田友緒(陶芸家)|増子博子(画家)
各地の山水土瓶(協力:河野真理子、土瓶好きの会・蒲池敬造、長澤正義、前野直史)   

2025年7月19日(土) - 8月30日(土) ※夏季休業 8/10 - 8/18


オープニングレセプション:7月19日(土) 17:00-19:00
11:00 - 19:00 日曜・月曜・祝日休み

関連イベント

イベント名:山水土瓶こうこう座談会
登 壇 者
岩見 晋介(陶芸家)
河野 真理子(元窯業史博物館・旧新橋停車場鉄道歴史展示室・鉄道博物館学芸員)
川北 裕子(パナソニック汐留美術館学芸員)
木村 晃基(陶芸家/ Zoomでの参加予定)
佐々 風太(東京科学大学リベラルアーツ研究教育院研究員、日本民藝協会機関誌『民藝』編集委員)
濱田 友緒(陶芸家、濱田窯代表、濱田庄司記念益子参考館館長)
前野 直史(作陶家、土瓶好きの会)
増子 博子(画家・山水土瓶こうこう主催)
日   時: 2025年7月20日(日)13:00 - 15:00 ※開場12:30
会   場: ギャラリーモモ両国
参 加 費:無料(予約不要)


 

GALLERY MoMo 両国では、2025年7月19日(土)から8月30日(土)まで、アーティスト・増子博子による企画展「風景と創 ― 山水土瓶こうこう」を開催いたします。

 

本展は、増子が2020年に栃木県益子町で出会った山水土瓶を起点とした、これまでのプロジェクトの延長線上にあります。増子は、本展覧会に至るまでに、2024年5月に濱田窯長屋門(益子町)の協力を得て開催された座談会「山水土瓶こうこう」、Cyg art gallery(2020年、盛岡)での個展「よくよく、沃野」、松坂屋静岡店 blanc CUBE 2.3(2023年、静岡)での「うつろう景色」などを展開してきました。

 

展覧会タイトルにある「山水土瓶こうこう」は、柳宗悦が1932年に雑誌『工藝』に寄せた「土瓶考」に由来するとともに、「孝行」の意味も込められています。ここには、先人たちから受け継がれてきた知恵や技術を未来へと手渡すという想いが込められています。

増子は次のように語ります:

風景とは、記憶であり、感覚であり、そして世界との繋がりのかたちです。 創(きず)とは、破れとともに立ち上がる自己の輪郭であり、その開かれは新たな風景の始まりでもあります。」  

 

本展では、増子が益子での山水土瓶にまつわる聞き取りをもとに制作したドローイングや刺繍作品、日本各地で描かれてきた山水土瓶を展示します。また、山水土瓶に描かれた山水を実際に描いてみるワークショップなどの活動を展開してきた岩見晋介による作品、山水土瓶や山水汽車土瓶の制作を通じて、その継承に取り組む木村晃基の作品も紹介します。さらに、柳宗悦や濱田庄司の研究を続ける佐々風太によるテキスト『セザンヌと山水』、濱田庄司記念益子参考館館長であり、濱田窯代表でもある濱田友緒による土瓶作品もあわせて展示いたします。

 

山水土瓶の絵付けは、古くから益子、信楽、相馬など各地で職人たちにより描かれました。その素朴な美しさは明治20年頃に最盛期を迎えたと言われています。特に、絵付師・皆川マス(1874–1960)の、一日に何百もの土瓶に描いてきた手からうまれる景色は、まるで自然に生じたひび割れのような趣を帯びています。 「作為」と「無作為」を軽やかに飛び超えるその筆致は、民藝運動の旗手たちを魅了しました。彼らは日常に埋もれていた山水土瓶にふたたび光をもたらしたのです。 そして今、私たちもまた、それぞれの縁を通じて、山水土瓶との新たな出合いを迎えています。

 

こうした山水土瓶というひとつの器を契機に、そこから開かれる「裂創(出合い)」としての風景に目を凝らし、物や言葉を介して多様な視点が交差する、新たな景色の思索の場を設えます。土瓶を通して交差する記憶や視点が織りなす新たな景色を、どうぞご高覧ください。

 

なお、会期中の7月20日(日)には、出品作家に加え、川北裕子氏(パナソニック汐留美術館 学芸員)、河野真理子氏(元・窯業史博物館、旧新橋停車場鉄道歴史展示室・鉄道博物館 学芸員)、前野直史氏(作陶家・土瓶好きの会)を迎えて座談会を開催いたします。それぞれの立場から「土瓶」について掘り下げる貴重な機会となりますので、ぜひご参加ください。

 

 

「風景と創 ― 山水土瓶こうこう」に寄せて

 

風景とは、記憶であり、感覚であり、そして世界との繋がりのかたちです。創(きず)とは、破れとともに立ち上がる自己の輪郭であり、その開かれは新たな風景の始まりでもあります。

 

2020年、私は栃木県益子町で偶然、山水土瓶と出会いました。

 

山水土瓶の絵付けは、古くから益子、信楽、相馬などで職人たちによって描かれ、その美は明治20年頃に最盛期を迎えたと言われています。山水土瓶は、濱田庄司が約百年前に栃木県益子へと移り住む契機にもなりました。

 

私が出会った山水土瓶の絵付けは、明治生まれの陶画師・皆川マス(1874–1960)によるものでした。私はマスの筆致に魅せられ、その絵柄や、そこに 幾重にも積み重なった歴史に関心を抱き、学び始めました。

 

山水の図案は、マス独自のものではなく、古くは中国や朝鮮から伝わり、日本各地の窯で、多くの陶画師たちによって描き継がれてきたものです。その景色が時代とともにどのように変遷してきたのか——私はその変わりゆく風景にも惹かれ、各地で描かれた山水土瓶の蒐集を始めました。

 

私はこれまでに、マスの絵付けや、その背景にある時代に触れる中で生まれた作品を岩手(2020年)や静岡(2023年)で発表しました。2025年には、濱田窯の協力を得て、濱田窯長屋門にて山水土瓶に関係する陶芸家や研究者とともに、座談会を開催しました。座談会や展覧会を重ねることで、多様な視点が交わり、新たな景色がゆっくりと生まれつつあります。

 

「作為」と「無作為」を軽やかに超えるその筆致は、民藝運動の旗手たちをも魅了し、日常に埋もれていた山水土瓶にふたたび光をもたらしました。 そして、今、私たちもそれぞれの縁を通じて、山水土瓶がある風景との新たな出合いが生まれています。

 

2025年 増子博子

岩見 晋介(陶芸)

1964年東京生まれ。1989年多摩美術大学絵画科卒業。 1995年に益子へ入り、中山博司氏に師事。1996年に長谷川製陶所にて修行後独立。2002年に自宅に穴窯築窯。 栃木県の国際窯業支援事業によりカンボジアへ渡航。カンボジア伝統陶器復興プロジェクトに関わる(2007〜2015)。デンマークのボーンホルム島にて、原料採取・作陶プロジェクト (2016〜)等、様々な土地の土、作陶との関わりから発想を得て作陶を続けている。

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木村 晃基(陶芸)

1995年栃木県益子町に生まれる。陶芸家木村三郎を祖父に持つ。2020年専修大学経営学部卒業後、京都府立陶工高等技術専門校で学ぶ。益子陶芸美術館の益子国際工芸交流事業に従事(2021年-2025年)。生家である木村窯(益子町)にて作陶を行う。皆川マス、皆川ヒロの絵付けと祖父のろくろ仕事を次に伝えていくべく山水土瓶、山水汽車土瓶を制作している。

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佐々 風太(民藝研究)

東京科学大学リベラルアーツ研究教育院研究員、日本民藝協会機関紙『民藝』編集委員。1996年札幌市生まれ。東京工業大学大学院博士後期課程修了。博士(学術)。柳宗悦・民藝運動を中心とする近現代工芸を専門とし、特に民藝運動における理論と制作の関係について研究している。論文「『用いる』ことをめぐる柳宗悦の思想-『仏教美学』との関わりに注目して」で第19回涙骨賞奨励賞受賞(2023年)。

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濱田 友緒(陶芸)

1967年益子町生まれ。濱田窯代表。濱田庄司記念益子参考館館長。 濱田庄司を祖父に、晋作を父に持つ。多摩美術大学大学院修了後、1995年より益子町使節団として渡英し、セントアイヴスとの交流を再開。 震災で被災した施設の再建や、国内外での展覧会・講演活動を通じて、民藝精神と益子焼の魅力を広く発信している。

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濱田友緒_土瓶3.jpg

増子 博子(画家)

1982年宮城県生まれ。2008年宮城教育大学大学院教科教育専修修了。初期より取り組む「盆栽」シリーズはペンによって自身がイメージする理想の形を育て、自然と人間の協働という視点で制作。その後、東北の各地を転々とし、その風土で培われたものを作品のインスピレーションにしている。

Photo:大野 孝雄

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