六本木|プロジェクツ

"Gallery Show"   

小野 さおり|替場 綾乃|人見 元基|福島 淑子|村田 朋泰|吉田 晋之介​

2020年10月31日(土) -  11月28日(土)

営業時間 :火曜日 – 土曜日  12pm – 7pm   日曜・月曜・祝日休み

発熱や咳、息苦しさなどの症状があるお客様はご遠慮いだだきますようお願いいたします。

混雑が発生した場合は、入場制限をすることがございます。

ギャラリーでは定期的な換気、清掃を行い、スタッフの健康管理、うがい手洗い消毒、マスクの着用の徹底をいたします。

 GALLERY MoMo Projects / 六本木では10月31日(土)~11月28日(土)まで、所属作家、小野さおり、替場綾乃、人見元基、福島淑子、村田朋泰、吉田晋之介の旧作によるグループ展を開催いたします。

 今展では、東日本大地震後の2011年〜2012年に制作された作品を中心に、今までの意識が一変するような事態が起きたときに、それぞれの作家がどのように作品と向き合い、制作してきたのかを見ていきます。

 コロナでの新たな生活は、私たちの暮らしだけでなく、生き方と向き合う機会となりました。今までと同じ意識で生きることができないという経験は、3・11後と共通する部分もあり、アーティストたちの制作にも少なからず影響を与えています。私たちのアーティストも、時間の経過と共に変化と向かい、制作に取り組んでいます。震災を契機に制作された作品を見返すことで、今の状況と似た部分を模索できないかと考え企図しました。

 小野さおりは、漁業を生業とする家に生まれ育ち、祖父の海での遭難による深い悲しみと、その際の父親の生還による強さに直面し、命への慈しみと強さを同時に体験する事になりました。そして、3・11では、両親の命に別条はなかったものの、福島の漁業は壊滅的な打撃を受け、大きな衝撃の中、個展を開催しました。震災後、作品のモチーフやスタイルに大きな変化は見られませんでしたが、海に生きるものたちを描くとき、そこに透徹した命への慈しみを見ることが出来ます。

 

 替場綾乃は、合板や紙にテキスタイルに使われる文様のパターンを描き、女性の持つ強さや、外側と内側の断絶を表すような作品を制作してきました。今回展示する『mourning flowers』は2012年の個展の際に展示したもので、アメリカなどに生息する悲しげな声で鳴く鳩、mourning dove(ナゲキバト)からとった作品名は、喪に服す女性の衣服を思わせる黒地に白いレースが描かれています。大震災ばかりでなく、それ以前に個人的にも深い喪失感を抱く状況に見舞われた替場は、喪に服しながらどこかで、もう先に進もうとし、その強さや優しさ、いつかは枯れてしまう花にずっと泣き続ける事は出来ないという意味をこの作品に込めました。

 

 福島淑子は、人物を主体とし、ポートレイトや複数の人物による構成など個性的な人物表現を展開してきました。震災を受け、「美術に何ができるのか」という思いを巡らせ、しばらく作品を制作することができませんでした。時間が経ち、原発事故の影響が深刻さを増す中で制作された作品は、自分だけでなく、まだ見ぬ我が子や今を生きる子供たちの将来への懸念が、描かれる人物の眼差しに表れています。一見、作品に大きな変化は見えないものの、様々な葛藤や不安の中で生きることの意味を再考させられる作品となっています。

 

 人見元基は、擬人化された動物を、しぐさや眼差しに自己を取り巻く世界への不安や違和感、人間の持つ願望や憧憬、嫉妬、情愛、そして妄想などを込め、彩色された木彫作品として展開してきました。2012年の個展では、子供や少女性をモチーフに、物語性を内包した人物彫刻に取り組んでいます。今展では、2012年に発表した、3・11後の世界で出会った言葉『予兆』をモチーフに制作した作品を展示します。昆虫のような妖精のような少女は、純粋性と残酷さ、ファンタジーと現実性が同居し、何か『予兆』を運んできているように見えます。

 村田朋泰は、パペットアニメーションを用いて、2011年に起きた東日本大震災と福島原発事故を機に「祈ること、信仰すること、記録すること」とは何かをテーマに全5作品で1つのシリーズとする作品群の制作に取り組んできました。今展では、震災をテーマにした『松が枝を結び』を展示します。この映像作品は、いくつもの前兆が重なり合ってできています。気づくものもあれば、気づかないものもあり、目に見えるもの、そうでないものもあります。二つの対になるシーンを象徴的に織り交ぜ、震災というテーマだけでなく、日本列島と日本人のアイデンティティとの関係性を示唆することで、信仰の歴史を改めて認識し、移りゆく自然の豊かさと厳しさを受容し、自然を敬い、恩恵に与る「日本人」の姿の一端を表現しています。

 初期の吉田晋之介は、人工的な造営物のモチーフを静かな自然に置いた作品を制作していましたが、3・11後は、自然の驚異的な破壊力を表現するかのような大作を制作しました。VOCA展に出展した作品『雨』は、原発の建屋が白く描かれ、激流を避けつつも不穏な空模様に包まれ、原発事故を招いた人間の行為の先行きに暗雲が垂れ込めているかのように感じられます。今展では、その大作の先駆けとして制作された作品を展示します。大作のような荒々しさはないものの、静かに描かれた震災を思わせるモチーフが、自然の驚異や人が造る物への不穏さをより強く感じさせています。