Mizuki Shigeta
 
The Flowering of Awakening

寝覚めの開花



August 21 (Sat), - September 18 (Sat), 2021

After the rain

雨上がりの水溜りを描いた作品。色が塗られていない部分は、自分があたりまえに思い込んでる世界の姿。だけど、実際は、色鮮やかに水溜りに映し出されていて、自分が思っている以上に可能性に満ちている様を表現している。一輪の薔薇だと思っていても、他の花もあったり鳥や蝶がいたり様々な命の垣根を超えて生命力に溢れている。

色鉛筆で着彩されていることで、線だけで描かれた姿よりも、エネルギッシュさを増幅させている。

花からしたたる水滴は、涙を思わせるがそこに差す光と色鮮やかさに希望 を感じることができる。

【気づき】的なシリーズ。それまで自分が思ってもいなかった可能性に気 づき、希望を感じる。

Therapy

自分は自分を「家」と思っているけど、本当は猫である可能性もあるし、 草花である可能性もあることを水溜りに反射した中に違う様々なモチーフを描き表現している。また、水溜りに描かれたそれらのモチーフの影もまた違うものにも見え、はっきりとは今は見えないが確実に存在する新しい自分の可能性を示唆している。

意識的に自分自身に目を向け、凝り固まった思考や「こうしなければい けない」という思い込みの不自然さを丁寧に観察し、自分自身の自然な 状態をより知ろうとしている、内省的な作品。

Before becoming a word

頭の中でまだ言葉として出てこない「言葉になる前の」感覚的な思いを描いた作品。 感覚的な部分を「言葉にしなければいけない」という思い込みを、言葉以外にも時々の感じ方で違う表現方法もあるということを 表現している。

メトロノームやカセットテープからは、懐かしさと草花が生きいきと伸び、音楽や音の楽しさだけでなく、生命力を感じさせる。 ラインのみで描かれ、彩られていないモチーフの部分には、花のような影が落ちている。

『After the rain』や『Therapy』では水溜りに、自己の可能性を投影させていたが、このシリーズでは、自己として描くモチーフ 自身に色鮮やかな影を描くことで、周りからの様々な影響で自分が彩られると同時に、一体化することのない影に自己と他者との違いを受け入れている様子を描いている。

Windy day

従来の「ぬり絵」は、描かれた線の中を塗っていくが、この作品では、 その線から大きく外れて色を塗るどころか違うモチーフを描き、 今まで自身を縛り付けていた枠から解放された喜びを表現してい る。その喜びを祝福するかのような色とりどりの花々の中で、描かれる線だけの少女や動植物もどこか生命力に溢れ生きいきして いるようにも感じられ、本来色を塗って命が吹き込まれるはずの モチーフたちが、色を塗らずして生命力に溢れている図から、思い込みから解放され、自然な自分を生きることがこの上なく幸せであるという作家のメッセージを読み取ることができる。

『After the rain』、『Therapy』、『Before becoming a word』を経て最後に『Windy day』という展示の流れは、 『寝覚めの開花』と題したように、徐々に自分自身を開花させていき生きていく力を得ていくような構成となっています。