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Motoki Hitomi

In the Forest of Ido

Jun.1 - Jun.29, 2023

Roppongi | Projects

人見 元基

イドの森で

2023年7月1日 - 7月29日

六本木|プロジェクト

GALLERY MoMo Projects(六本木)では7月1日(土)から7月29日(土)まで人見元基の6回目の個展「イドの森で」を開催致します。

人見元基は1985年島根県生まれ、2010年東京藝術大学美術研究科彫刻専攻修士課程を修了し、主に木彫により擬人化された動物彫刻作品を制作し、在学中の2008年に三菱地所賞を受賞後、2010年「野外美術展どうぶつの森」(うつのみや文化の森)、2011年「あにま展」(島根県立美術館)、2012年には「大地の芸術祭越後妻有アートトリエンナーレ」などの展示に招待参加し、幅広い層に親しみを持って迎えられて来ました。

現代社会において、いつの時代も子供から大人への成長過程は大きな関心事となっています。初期より人見が作る擬人化された動物彫刻や子供などの人物彫刻は、その時々の自身の精神的な状況を反映させているかのようで、近年物語性を込めた作品へとその範疇を拡げつつあります。子どもから大人への成長と変化の過程を見つめ、大人になりながら否定的な部分も含め子どもへの憧憬の眼差しを持ち続け、その思いに戸惑いながら木彫という素材に鑿を穿ち、表現に昇華させて行こうとする気持ちや姿勢が作品に表れています。

本展覧会では、精神分析に於ける本能的な欲求や衝動的な部分をつかさどる「イド」という無意識の領域をテーマに、「イドの森」という舞台を設定して物語にし、思春期を迎えて社会とエゴの間でさまよう人間の、子どもから大人への成長過程の葛藤を木彫作品として表現、「他者との接点を童話的に物語の中心に据えて、作品一つ一つが人の営みから生まれたイコンのようになってくれればと思う」と語っています。

人見が制作する作品は、自身の記憶や発見、興味を持った事柄が組み合わさって生まれます。また、他者、特に、異なる人生を歩んでいる他の人々との出会と対話から生まれるインスピレーションや共通の経験や感覚が見つかると、魅力的なイメージと結びつくことがあります。今回の展示でも、それが一つの大きな要素となっていると語っています。

人見の童話的な物語の中に他者との接点を見出し、それぞれの作品が人々の営みから生まれた象徴のような作品を作り出そうという試みは、人間の成長過程や内面の探求を通じて、心に響くメッセージを届け、鑑賞者にも多くの共感を与えることでしょう。

本展は六本木での展示になりますが夏へと向かう一日ご高覧いただければ幸いです。


アーティストコメント:

年齢を重ねて周りから成人とみなされるようになっても、どこか芯のない、足が地に着かない漠然としたこの虚無感はどこから来るのか。僕にはまだ大人になれたという感覚が芽生えていない。

他人と自分との堪えがたい壁を自覚した少年時代に迷い込んだあの「森」で僕はまださまよっている。

“無意識の衝動”を表すものにイドという言葉があり、心に広がる深い森に例え、「イドの森」と名付けた。他者との関わりに疲れ、寄る辺なくさまよう少年少女、彼らの物語の舞台とした。

何かを失うことで知らなかったものを知り、それを繰り返しながらいつか森の先にあるものを見る。

そんな物語。

子供の形を作っていると、昔の自分の頭の中まで思い出されるようで、その記憶を辿っていく時間の中で色とりどりの物語が生まれてくる。

自分の断片でありいつか見た人達の残り香が彼らで、それぞれが物語の中で自分の位置を認識させてくれる標だ。

2023年 人見元基



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