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Shinnosuke Yoshida
 
PERISCOPE


August 14 (Sat) - September 11 (Sat), 2021

PERISCOPE

2021
HD Video / Stereo sound
Edition of 10
11min37sec

「PERISCOPE(ペリスコープ)」は、英語で「潜望鏡」という意味である。 
自宅のある日暮里と勤務先の上野とインターネットを、マスクをつけながらひたすら巡回するだけの小さな動きから見えてくる世界は、

つくづくシルエット的であると思う。 
まだしばらく、潜らなければならなそうだ。 私はそこから日々、覗き窓をぐるぐる覗く。

非常に大きなニュースが立て続けにあったなかで、鶏肉を照り焼きにするかカツにするか悩んでいるII_最新版.oil

Amid happening big news in a row, I'm bothered by how I cook the chicken, teriyaki or cutlet II_latest ver.oil

2018 - 2021
Oil on canvas
259.0 x 194.0 cm

この作品は2018年に一度完成し公開している。
作品タイトル「非常に大きなニュースが立て続けにあったなかで、鶏肉を照り焼きにするかカツにするか悩んでいる」は、

2017年2月14日21時08分に私の知人がツイッターに投稿したツイートの全文である。
この日は、北朝鮮の金正恩の兄である金正男が、マレーシアにて暗殺されたとの報道が、日本のニュースで大きく取り上げられた日であった。
ニュースの画面から顔を上げ現実世界を見渡すと、洗濯をし、ご飯を食べ、日々のことを考え生きなければならない自分の生活があった。

また画面に目を戻すとこのツイートがあった。
その時得たインスピレーションを、私は作品化したくなった。2017年の個展でその作品を発表した。
翌2018年6月にはシンガポールにて米朝首脳会談が行われ、またメディアが騒ぎ始めた。

私はこのメディア表層で起きているスペクタクルと自分の私生活が同時に存在する様をまたも作品化したくなった。

そして2018年に新規にバージョン2を制作し発表した。
その後この作品は、アトリエに置かれていたままであったが、2020年の新型コロナウイルス感染症 (COVID-19)の世界的流行によって、

世界中の人々と自身の生活様態が変わった際にこの絵も更新したくなった。
まるで違うゲームのセーブデータが上書きされてしまったかのような変化。
私は「非常に大きなニュースが立て続けにあったなかで、鶏肉を照り焼きにするかカツにするか悩んでいる」

というコンセプトを保ったまま、最新版を文字通り上書きした。
それは新しい地層が生成されるようでもある。

この作品で表現したかったもののひとつ、それは息苦しさかもしれない。
断片しか見えず見通せない息苦しさ。
地層に埋没していく息苦しさ。
ノイズまみれの息苦しさ。

 

植物のある部屋-対岸の火事

Room with Plants - Fire on the Opposite Shore

2019 - 2020
Oil on lawn cloth, rabbit-skin glue
162.0 x 162.0 cm

この作品は2019年から2020年にかけて制作した。
当時のいくつかの事件・事故・メディアにおける他者の炎上と、地続きな自分との距離感が題材となっている。

 

素材に関して。
2019年から新たな支持体に興味を持つ。
この作品では寒冷紗に兎膠を塗布したものを支持体としている。
荒々しく重厚な油絵具の層を透明で繊細な膠の膜が支持しているという物質性のギャップに私は惹かれるのである。

 

IMG_20191019

2019 - 2021
Oil on canvas, rabbit-skin glue
100.0 x 100.0 cm

この作品は2019年10月19日に老衰で他界した祖母の最後の鼓動がモチーフのひとつとなっている。
私は幸い、臨終の瞬間まで自宅で手を取りながら看取ることができた。
92年の生涯を閉じたその瞬間の鼓動、つまり鼓動が止まる瞬間を手を繋ぎながら感じたのである。

Through the screen

2019 - 2021
Oil, charcoal on canvas, rabbit-skin glue
45.5 x 53.0 cm

「画面越しに」と題した作品である。
コロナ禍では他者との画面越しのコミュニケーションが強いられた。
画面越しに見る他者の顔はいつも一方向的であるし、

ましてや相手がマスクをしているとそこから読み取れる他者の情報やニュアンスは著しく減少する。
不純物をも含んでいた他者の豊かな情報は、画面とマスクによって濾過されてしまった。
この作品はキャンバスの裏から描いている。
画面の向こう側、すなわちキャンバスを裏返した時にはじめて、直に描かれた顔が見れる構造の作品である。

Through the mask

2019 - 2021
Oil on canvas, rabbit-skin glue
53.0 x 45.5 cm

「マスク越しに」と題した作品である。
窓の外=ギャラリー外から見た時の作品の印象と、ギャラリー内から見た時では印象のギャップが起こるものにしようと思い制作した。
内と外、明と暗、カラーとモノクローム、抑圧と解放、夢と現実など、さまざまな二項対立的な要素を各面に配置し対比させ、現実への矛盾や葛藤・次に起こる事柄が確定していない状態としての「宙吊り状態」を表現しようと試みた。
さて、この作品を普通の白壁へ展示しようとするとき、どちらを表にするべきだろうか。

森 - いない
森 Ⅱ
森 Ⅲ - いる



The Forest - Not Exist
The Forest Ⅱ
The Forest Ⅲ - Exist

2019 - 2021
Oil on canvas, rabbit-skin glue
22.7 x 22.7 cm

この作品は2019年より素材研究している兎膠キャンバスに描いた連作である。
《森 Ⅲ - いる》では、鳥籠に入った愛鳥を描いている。愛鳥は裏から描かれ、表面からは透明キャンバス越しに見えている。
私は時々、私の部屋で飼われている愛鳥は本当に幸せだろうかと考えることがある。
この連作は、今回の個展で出品した映像作品《PERISCOPE》の内容とも関連づけている。

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