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六本木|プロジェクツ




GALLERY MoMo Projectsでは、2026年3月7日(土)から4月4日(土)まで、大久保如彌、替場綾乃、小橋陽介、阪本トクロウによるグループ展「Flowers」を開催いたします。
古くから花は、絵画や工芸をはじめとする多様な表現の中で繰り返し描かれてきたモチーフです。生命の象徴や装飾的な存在として、あるいは個人的な記憶や感情を託す対象として、花は時代や文化を越えてさまざまな意味を帯びてきました。
本展では、花という共通のモチーフを起点に、それぞれ異なる視点と方法で制作を行う4名の作家の作品を紹介します。花そのものへのまなざしやモチーフの扱い方、画面における表現のアプローチの差異を通して、身近な存在である花がいかに多様なイメージとして立ち現れるのかを探ります。
大久保如彌は、温室をモチーフとしたシリーズ《Thinking of someone who has drawn botanical paintings》を展示します。大久保は、完全に制御され隔離された環境としての温室に関心を寄せ、そこを人間の欲望や理想が集められた象徴的な空間として描いてきました。温室の内部で植物や蝶に囲まれた穏やかな環境は、外界の現実を一時的に忘れさせる場所でもあります。作家自身の個人的な経験や、コロナ禍において多くの人が経験した孤立の感覚とも重なりながら、温室というモチーフを通して人間の内面や社会のあり方を静かに問いかけます。
替場綾乃は、近年取り組んできた花の文様を背景に持つ作品を展示します。替場は初期より、モチーフの形にカットした合板を支持体として用い、自身の現在地点を見つめながら女性性を含む作品を制作してきました。妊娠・出産・子育てを経験する中で生まれた感情や視点は、作品の中でテキスタイルや古典的な文様と結びつき、個人的でありながら現代的な物語として表現されています。花のモチーフは背景の文様として広がり、その上に描かれた手や耳などのモチーフ、漫画的でフラットな線が前後関係を伴って現れることで、視点の変化によって見え方が大きく変化する画面を生み出しています。
小橋陽介は、セルフポートレイトをはじめ、動植物や身近な人々をモチーフに制作を続けてきました。小橋の描く対象には、彼自身の温かなまなざしと、対象が持つ個性への繊細な観察が表れています。その視線は人や動物だけでなく、花や植物といった身近な存在にも向けられ、ささやかな生命の存在感を丁寧にすくい上げます。花を描いた作品からも、対象への親密な距離感と作家の静かなまなざしが感じられます。
阪本トクロウは、日常の中で目にする自然の風景や人工的な構造物を等価のまなざしで見つめ、そこに潜むリズムや反復、重なりといった要素を抽出し、画面の中に再構成してきました。本展では、道端の草木をモチーフとした作品を展示します。作家が「道草をしている時に雑草のシルエットが美しく感じられたので、道端の草をいくつか描いた」と語るように、日常の中で見過ごされがちな植物の姿を丁寧に観察し、その本質的な形や美しさを浮かび上がらせています。シンプルに整理された画面は、具象でありながら高い抽象性を備え、見る者の記憶の中の風景と静かに重なります。
同じ「花」というモチーフを起点としながらも、4人の作家はそれぞれ異なる視点と方法によって作品を展開しています。本展は、花という身近な存在を通して、自然へのまなざしや個人的な記憶、身体感覚や社会との関係など、多様なテーマが交差する場となるでしょう。春の訪れとともに、それぞれの作家による花の表現をご高覧いただければ幸いです。
















