開催中の展覧会
両 国

ARATENO
鷹取 雅一|ちぇんしげ|堀田 ゆうか
2025年9月13日(土) - 10月18日(土)
オープニングレセプション:9月13日(土) 17:00-19:00
11:00 - 19:00 日曜・月曜・祝日休み
ビジュアルデザイン:inori
協力:Maki Fine Arts
GALLERY MoMoでは、2025年9月13日(土)より10月18日(土)まで、鷹取雅一、ちぇんしげ、堀田ゆうかの3名によるグループ展「ARATENO」を開催いたします。
本展は当ギャラリーのアーティストの小橋陽介に企画・キュレーションを依頼し、実現しました。小橋は制作だけでなく、多くのアーティストの展示を周り、作品を見てきました。彼と話す中で、アーティスト、作品、展示を観る視点が彼ならではの視点であり、私たちが見えなかった新たな視点を与えてくれました。アーティストがキュレーションする展示が近年増えてきていますが、本展「ARATENO」は、「見えていなかったことを見せる、ヨドみに吹く風」と語る小橋の言葉通り、作品や展示から感じる「抜け」を共通項に構成されています。
また、小橋の依頼により本展のフライヤーデザインとグッズを手がけたinoriのデザインも、その感覚をキャッチし、軽やかに「抜け」を体現していて、展覧会に違う角度から風を吹かせ、独特のリズムを生み出しています。
既存の枠組み、概念、表現方法にとらわれず、異なるアプローチを持つ3名のアーティストの自身の内面と向き合いながら生み出す連続性のある作品群をセッションするように展示された空間を是非ご高覧ください。
ARATENO
あらての──それは、見えていなかったことを見せる、ヨドみに吹く風
光をゆらめかせ、目を遊ばせる、脳が気持ちいい。ありがとう。
あるいは、初めて見る。胸がざわざわして苦しい、脳が混乱している。考える。
おとなは、こどもの作るモノを見て何かに感心する。
かつて自分ができていた、今はできない「何か」。
自分の中の何かを探しているおとながいる。自分でいるために、“自由”を探している。
自分の中の矛盾を受け入れ、目的を持たず、ただ歩く。
こどもに戻るということではない。
自由でいるとは、その時代、その時間の“自分”であるということ。
そうやって、いつだって自分と対話している人の作るモノに、何かを見たい。
小橋陽介
あらての”抜け”
髄に届いていく、あの感覚。ここまでやってくれてありがとう、と思わずにはいられないリスペクトと脅威。
ちぇんしげ、堀田ゆうかはインスタレーションするとかしないとか、タブローとかドローイングとか、床とか壁とか、しょうもないとこでツマづかずにその先で語る自由な世代。
連続性や量の説得力は2人の共通点だと思うが、新鮮さに加え、隅々まで抜かりのないバランス感覚に魅せられる。
巧みな引き算で、それぞれ異なる方法ながら、”抜け”を生み出している。
鷹取雅一は僕と同世代ということもあり、新鮮さというよりも、バランスを破壊していくような執拗な足し算でも、なぜか”抜け”があることに唸らされた。
”抜け”は意識的にせよ無意識にせよ、作家の感性によるところが大きい。技術を身につけ、大人になるほど見えにくくなる。
そして、これまた軽やかに”抜け”ているinoriのデザイン。軽やかさと”抜け”は、この展覧会を作る4人の共通点だ。
4人それぞれの感性が呼応し合いながら、執拗に、しかし軽やかに"抜け"たARATENO展が、誰かの髄に届きますように(祈り)。
小橋陽介
鷹取 雅一
いろいろあって
約10年ぐらい制作や展示に向き合う
時間が作れずにいましたが、
最近やっと時間がとれる様になり、
制作を再開できました。
久しぶりに制作に集中してみて
絵を描くことが楽しくて仕方がないです。
といった感じの絵です。
鷹取 雅一




1980年岡山県生まれ。2002年岡山大学教育学部卒業。現在岡山を拠点に活動。
鷹取は、ドローイング、ペインティング、コラージュといった形式を用いながら、猥雑さ、装飾性、ユーモアが入り混じる濃密な画面を構築します。女性像を中心としたモチーフは、プリクラやファッション雑誌の切り抜きを集めたノートのように、鷹取のお気に入りの「混沌」を集めながら、鬱屈した表情やシニカルな視線を加え、その背景にあるストーリを想起させます。制作からしばらく遠ざかっていたと言う鷹取ですが、作品からはそのブランクを感じさせない描くことへの喜びを感じさせます。
[略年譜]
1980 岡山県生まれ
2002 岡山大学教育学部卒業
[個展]
2015 児玉画廊|京都(京都)
2011 児玉画廊|京都(京都)
児玉画廊|白金(東京)
2009 児玉画廊|白金(東京)
2002 DAVID HALL(岡山)
2001 Space F(岡山)
2000 DAVID HALL(岡山)
1999 DAVID HALL(岡山)
[主なグループ展]
2017 「ignore your perspective 36」児玉画廊|白金(東京)
2012 「ignore your perspective 12」児玉画廊|白金(東京)
2011 「ignore your perspective 9」児玉画廊|白金(東京)
2010 「共鳴する美術2010-ストーリー・テリング-」倉敷市美術館(岡山)
2009 「ignore your perspective 8」児玉画廊|京都(京都)
「ignore your perspective 7」児玉画廊|白金(東京)
2005 「VOCA展2005」上野の森美術館(東京)
2003 「ARTIST BY ARTIST」森アーツセンターギャラリー(東京)
「LOVE PLANET」出石小学校(岡山)
2002 「NEW TOWN ART TOWN」山陽団地(岡山)
2001 「THE STANDARD 」直島コンテンポラリーアートミュージアム(香川)
「VOCA展2001」上野の森美術館(東京)
2000 「作品ホームステイ」灰塚アースワークプロジェクト(広島)
1999 「焼肉」すろおが463(岡山)
ちぇんしげ
絵画や線、言語記述をめぐる、配置、境界、共存を主軸に、ディスコミュニケーション、多言語社会、おトクの視覚像(イメージの圧縮)、言語や記号リテラシーなどの現象を意識しながら創作。
最近は紙に書かれる造形表現や多言語マンガにおける記述方法、エクソフォニー的美学の在り方に関心を寄せています。
ちぇんしげ




1993年台湾生まれ。武蔵野美術大学油絵専攻卒業、同大学院修了、現在、東京藝術大学大学院美術研究科博士後期課程美術専攻在籍しています。
ちぇんしげは、絵画やドローイングだけでなく、漫画を表現方法に用いながらイスタレーションを制作し、絵画表現と記述表現をめぐる配置方法や境界などをテーマに制作しています。多言語社会やディスコミュニケーション、マルチ・コンピテンスといった複層的なテーマを探求しながら、言語や「言語のようなもの」を記号のように描き、文字と絵が交錯する画面を展開しています。
[略年譜]
1993 台湾台北市生まれ
2017 武蔵野美術大学油絵学科油絵専攻 卒業
2021 武蔵野美術大学大学院造形研究科修士課程美術専攻油絵コース 修了
2023 東京藝術大学大学院美術研究科先端芸術表現専攻 修了
東京藝術大学大学院美術研究科博士後期課程美術専攻在籍
[個展]
2025 SPACE NOBORU(東京)
2023 トーキョーアーツアンドスペース(東京)
APどのう(茨城)
2022 藝大食堂(茨城)
NADiff a/p/a/r/t(東京)
2021 ガーディアン・ガーデン(東京)
[グループ展]
2025 「群馬青年ビエンナーレ2025」群馬県立近代美術館(群馬)
「問い詰めてようやく語∈るに落ちる’」F RINGE(埼玉)
「あきた まちのえき』秋田駅ビル アルス(秋田、秋田)
2024 「バグスクール2024 野性の都市」BUG(東京)
「旅するお供」CREATIVE HUB UENO “es”(東京)
「ATLAS2024」東京藝術大学(茨城)
「広島竹原芸術祭2024 記憶の地層」竹原市(広島)
「漫画圏」アート/空家 二人(東京)
2023 「第二回ヤギの目ビエンナーレ」アトレ取手VIVA(茨城)
「2023先端 PRIZE展–あなたを想ってわたしを想う」藝大食堂ギャラリー(茨城)
「食と現代美術 Vol.9』BankArt(横浜、神奈川)
「歓迎」@おじいちゃんち(東京)
「東京藝術大学卒業修了制作作品展」東京藝術大学美術館(東京)
2021 「ATLAS2021』東京藝術大学(茨城)
「ヤギの目はアートの素をひねり出す」アトレ取手VIVA(茨城)
「A WORLD AFTER PANDEMIC-POSITIVE UTOPIA」Breakステーションギャラリー(東京)
「武蔵野美術大学卒業修了制作展」FAL(東京)
「日常の創造~日々を紡ぐ手~』Cyg art gallery(岩手)
2020 「簡単なライフワーク」Gallery ULTRA(広島)
「第22回グラフィック「1_WALL」展」ガーディアン・ガーデン(東京)
2019 「日韓交流展」대구카톨릭대학교미술고관(大邱、韓国)
「ムササビのアブラ」SHINBI GELLARY(東京)
2017 「石岡市芸術祭」フラワーパーク(茨城)
「武蔵野美術大学卒業修了制作展」武蔵野美術大学(東京)
[受賞・助成]
2025 群馬青年ビエンナーレ2025 優秀賞
2023 東京藝術大学卒業修了制作 サロン・ド・プランタン賞/首席
2022 「TOKAS-Emerging 2023」選出
2022 第22回グラフィック「1_WALL」グランプリ
2017 武蔵野美術大学卒業制作 油絵学科油絵専攻研究室賞
[アーティストインレジデンス]
2023 「マイクロ・アート・ワーケーション」せんがまち棚田(静岡)
[プロジェクト]
2025 〈記述の会〉第5回【科学符号ををめぐる対話】
〈記述の会〉第4回【ベンガル数字[সংখ্যা Sôṅkhya]の書き方】
〈記述の会〉第3回【美術におけるエクソフォニーの可能性】
〈記述の会〉第2回【遠方のラインをなぞる@BUG】
2024 「風景の中の言語・言語の中の風景」賀茂川中学校(広島)
〈記述の会〉第1回【字喃[Chữ nôm チュノム]〜数字の書き方〜】
「グルテンヘヴィー」APどのう(茨城)
2023 ドローイング+多言語記述勉強会〈記述の会〉設立
2021 「ヤギと共に青空をつかもう」東京藝大取手キャンパス(茨城)
[寄稿記事]
2024 アーツカウンシルしずおか アニュアルレポート2023
堀田 ゆうか
どこまでも手を伸ばすことも、どこまでも留まり続けることもできるものとして、自身の身体と絵画という存在を常に重ね合わせながら思考を続けてきた。
自身を自身たらしめている輪郭はどこからどこまで続いているのか、絶えず流動し続けるそれをいかに留め、残していくことが可能なのか。
画を描くという行為は自らにとって、所在のない身体に1 つの形や場を仮定し、確かめていくための行為である。
限られたボリュームのベニヤなどの支持体に、そうした寄るべない身体の断片を仮定し、形に起こし、繰り返し確認するように描き残していく。鉛筆と支持体の摩擦、それによって生じるささくれ、震えを織り込みながら一つの身体を繕うように画面を構築していく。あるいは支持体自体を変形させ、空間に干渉させながら、絵と身体の間を流動するそれらが存在する空間を繕う。
描く自身の体重、支持体、空間の要件に引きずられていくこと、そうした絵と自身を取り巻く力学を延々と追いかけながら、言語の外に取りこぼされてきた絵画や身体の在り方について再構築することを試みている。
堀田ゆうか




1999年 愛知県生まれ。2025年 東京藝術大学大学院 美術研究科絵画専攻 修了しました。
堀田は、絵画やドローイング、転写技術を用いたインスタレーションを通して、身体的な感覚を支持体や空間に投影するような作品を発表しています。シリーズ「C」では、即興的なストロークと呼吸に重なるようなリズムによって、視覚と触覚のあいだを漂うような生命感あるイメージを生み出しています。また、屋内外を問わず、空間に「伸びる」ように展開される立体作品や、支持体を超えて展開されるインスタレーションなど、空間と共鳴する表現を展開しています。
[略年譜]
1999 愛知県県生まれ
2022 東京藝術大学美術学部絵画科油画専攻 卒業
2025 東京藝術大学大学院美術研究科絵画専攻 修了
[個展]
2025 Maki Fine Arts(東京)
2023 APどのう(茨城)
フラットリバーギャラリー(東京)
亀戸アートセンター(東京)
[グループ展]
2024 「神戸六甲ミーツ・アート2024 beyond」(兵庫)
「パターンと距離」Maki Fine Arts(東京)
「act.Inframince」OGUMAG(東京)
「Hue and Cry.」アートかビーフンか白厨(東京)
2023 「バグスクール:うごかしてみる!BUG(東京)
「うららか絵画祭」The 5th Floor(東京)
2022 「VANI」2k540 AKI-OKA ARTISAN(東京)
「ハビタブルゾーンより皆様」artgallery Opaltimes(大阪)
「HANCO展 」フラットリバーギャラリ(東京)
「明けの明星」Art Space 銀河101(東京)
2021 「明日はいない 」目黒rusu(東京)
「ストレンジャーによろしく」芸宿(石川)
「その場合、わたしは何をする?〜版画のひきだし〜」藝大アートプラザ(東京)
「第23回グラフィック「1_WALL」展」ガーディアン・ガーデン(東京)
2020 「沈黙」目黒区美術館区民ギャラリー(東京)
2019 「東京インディペンデント2019」東京藝術大学陳列館(東京)
「Portrait」東京藝術大学Yuga Gallery(東京)
2018 「全国大学版画展」町田市国際版画美術館(東京)
[受賞・入選等]
2023 クマ財団クリエイター奨学金7期生
2022 2022年度 俵賞(俵奨学金)
神山財団奨学金 第9期生
O氏記念賞奨学金 受賞
東京藝術大学 卒業制作買上賞
2021 第42期国際瀧冨士美術賞 特別賞
第23回グラフィック「1_WALL」 ファイナリスト
2019 久米桂一郎奨学金 受賞
[パブリックコレクション]
東京藝術大学美術館