開催中の展覧会
両 国
小橋 陽介|NEW BALANCE
2025年6月21日(土) - 7月12日(土)
オープニングレセプション:6月21日(土)
17:00-19:0011:00 - 19:00 日曜・月曜・祝日休み
GALLERY MoMo Ryogokuでは、6月21日(土)から7月12日(土)まで小橋陽介の個展「NEW BALANCE」を開催いたします。
小橋陽介は1980年奈良県生まれ。大阪芸術大学卒業後、2004年の神戸アートアニュアルや2006年の水戸芸術館クリテリオムでの個展、さらにVOCA展への推薦を受け、その自由で伸びやかな画面構成と豊かな色彩感で注目されました。2014年には国立国際美術館のグループ展「ノスタルジー&ファンタジー 現代美術の想像力とその源泉」や2024年には東京都現代美術館に開催された「日本現代美術私観:高橋龍太郎コレクション」など東京、大阪を中心に国内外で精力的に発表を重ねてきたました。
初期から断続的に制作しているself-portraitシリーズでは、ゴーギャンのような荒々しい色彩やマティスの柔らかな線を思わせる躍動感があり、自然と一体化した身体表現は、鑑賞者に開放感を与えてきました。2018年以降、モチーフは自身から身近な人々、ありふれた植物や動物へ広がりを見せながら、意図的に思想性を排除し作品を制作しています。一見ただひたすら楽観的なだけにも見えますが、そこには境界線がなく、カテゴライズされることのない寛容性のある表現により、多様性に溢れた社会と時代を象徴する要素を含み、展示方法にも作品に観られた自由で伸びやかな感覚を見ることができます。
本展では、近年の自身の身体と生活の変化を起点にした新作を発表します。生活の拠点を東京から小田原へ移し、痛風を患い、酒を断ち、食のあり方が大きく変わったという小橋は、身体的にも大きな変化がありました。そうした変化の中で制作した『self-portrait』と題した作品は、約5年ぶりで、彼が「絵にしたら少し受け入れられた」と語るように、かつて描いた『self- portrait』とはまた違う自己受容の過程としての自画像とも捉えられます。
日常のあらゆる変化を絵画に転化し、観る者に開かれた空間を形成することで、新たな“バランス”を探り続ける小橋の現在形と言える新作を是非ご高覧ください。
NEW BALANCE
去年の6月末は母の一周忌で帰省する予定だったが、足首がコッペパンになって帰れなかった。痛風だった。思い返せばその1年前、母の訃報を受けとった時も酩酊状態だった。
痛風について調べていると飲酒との関係は深そうで、この痛風デビューを機にノンアルコールに変えた。
食材のプリン体含有量について調べていくうちに、いろいろ考えるのが面倒になり、魚や肉をほとんど食べなくなった。そのせいか味覚と嗅覚が敏感になり魚や肉、半熟卵の匂いが苦手になった。そしてガリガリになった。
この歳でガリガリになると周囲からの心配のされようもすごく、顔色も黄緑色だったので仕方なかった。
勇気を持って激痩せの理由を聞いてきた知人たちは痛風に驚き、不思議がっていた。
きっと移住先の小田原で自炊をしながらバランスの良い生活を送っていると思っていたのだろう。
しかし、小田原には美味しい魚があふれすぎていた。
移住してからというもの、毎日のように刺身を食べ3年。海のない奈良で育ち、東京の下町の安くてありがたいスーパーで10年培った体質は、小田原の新鮮ですばらしい魚たちによってバランスを崩したのだった。
[出汁なしの味噌汁の作り方]
千切りにした玉ねぎと生姜、きのこ類(あれば)、酒粕を水から茹でる。沸騰したらトマトやサツマイモなど好きな野菜を加える。
最後に味噌を溶いたら、できあがり。
※ 具だくさんで作る。物足りなかったら食べる直前にきな粉を加えるのがおすすめ。
痛風一周年です。久しぶりに撮ったセルフポートレイトはまだ見慣れないけど、これが NEW BALANCE 。絵にしたら少し受け入れられた。
そうして海を眺めながら新しいバランスを育てています。
[どろどろ味噌汁の作り方]
玄米餅、酒粕、生姜の千切りを水から茹でる。沸騰したら好きな野菜を加え、餅が半分くらい溶けるまで煮る。
最後に味噌を溶いたら、できあがり。
※ 玄米餅はつぶつぶ感が残っているので溶けるとおじやのようになって旨い。
2025年 小橋 陽介