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六本木|プロジェクツ

New New New Normal

みょうじ なまえ|山本 れいら|半田 颯哉

​キュレーション:半田 颯哉

2020年9月5日(土) -  10月3日(土)
​※新型コロナウィルスの影響により、営業時間・会期が変更になる場合がございます。ウェブサイト・SNS等最新情報をご確認のうえお越しください。

営業時間 :火曜日 – 土曜日  12pm – 7pm   日曜・月曜・祝日休み

発熱や咳、息苦しさなどの症状があるお客様はご遠慮いだだきますようお願いいたします。

混雑が発生した場合は、入場制限をすることがございます。

ギャラリーでは定期的な換気、清掃を行い、スタッフの健康管理、うがい手洗い消毒、マスクの着用の徹底をいたします。

 GALLERY MoMo Projectsは六本木スペースにて、みょうじ なまえ、山本 れいら、半田 颯哉によるグループ展「New New New Normal」(キュレーション:半田 颯哉)を開催します。

 「New Normal」はCOVID-19による災禍の中で日本に輸入された、「新しい常態」のように訳される言葉です。本展では現代日本の社会問題を扱う3人のアーティストの作品を通して、日本がこれから実現していくべき社会の「New Normal」を提示します。また、それぞれのアーティストは異なるトピックを扱いながら、その根底には日本社会と欧米文化の関係性が通奏低音として見えて来るのが本展の見どころであると言えるでしょう。3人のアーティストが見せる3つの「New Normal」にどうぞご期待ください。
 お出掛けには慎重を期していただきながら、ご来廊ください。

 

出展作家

みょうじ なまえ・山本 れいら・半田 颯哉

みょうじ なまえ

2019年東京藝術大学美術学部絵画科油画専攻卒業。東京藝術大学大学院美術研究科絵画専攻油画第2研究室修士課程在籍中。

主な個展に「あなたのような誰か」(TAKU SOMETANI GALLERY/東京/2020)、グループ展に「Nomadic ‘東京藝大選抜メンバーによるファッションの抽象化展’」(COPACK GALLERY/東京/2019)、「第5回平成藝術賞受賞作家展 未来の芸術家たち」(平成記念美術館ギャラリー/東京/2019)など。O氏記念賞(2019)、平成藝術賞(2019)、国際瀧富士美術賞 特別賞(2018)受賞。

 

 女性が「見られる性」として扱われることを批判的に捉え、ジェンダーとコマーシャリズムを軸に制作を行ってきました。また、大量生産品の形態をした作品を織り交ぜることで、一点ものを尊ぶアート界の価値観に揺さぶりをかけようとしています。

 本展では裸婦の描かれた西洋名画に衣服を描き加え、それらを製品化したミュージアムショップをインスタレーションとして展開することで、女性が客体化され続けている歴史や、1985年にゲリラ・ガールズが発表した「女は裸にならないとメトロポリタン美術館には入れないの?」と書かれた作品から35年経とうとする現在も大きく変化の見られない現状からの脱却を促そうとしています。洋服や下着をまとった名画の中の女性たちが、主体性を持った意思のある女性に見えてきます。

 また、作品素材として用いられる西洋絵画からは、近代以降、西洋諸国が世界各地に大きな文化的影響力を持った歴史的背景も見えるでしょう。

山本 れいら

1995年東京生まれ。シカゴ美術館附属美術大学出身。

主なグループ展に「Multi-Cultural Appropriation」(川口リアクション/埼玉/2019)、「Noisy Kids show curated by Katerina Yewell」(Altspace/ニューヨーク/2016)、「Draw on Raw Exhibition」(Lemoart Gallery/ベルリン/2016)など。受賞歴にProfessor selected for Art Bash(2016)、School of the Art Institute of Chicago, Distinguished merit scholarship(2015-2019)、ベラドンナ・アート佳作(2012)。

 

 山本は、高校時代からアメリカで生活していたことで得た価値観と日本で育った日本人としての視点を織り交ぜながら、日本の持つ歴史 的・社会的な抑圧構造を描き出す作品を制作してきました。

 本展では、妊婦が受ける社会的抑圧をテーマにした作品シリーズを展示します。1848 年にマルクスとフリードリヒ・エンゲルスによって書かれた『共産党宣言』より引用した女性の社会的地位に関するフレーズを妊婦像と合わせて描くことで、女性が歴史的に子孫を残すための装置として搾取される一方で、聖母としての理想像のみ一般に流布されていることを批判し、女性が主体的な選択の権利を持つことを訴えようとしています。また日本では未だ家父長制的価値観が強く、結婚し子を産み母となることこそが女性の幸せであるとされがちですが、一方で、妊娠や子育てによって女性のキャリアが断たれるリスクに対するケアや社会的なサポートがなく、女性にとっての自己実現の選択肢は限られています。山本は、そうした妊娠出産することを受け入れない社会・文化構造に不安や憤りを抱き、抑圧への抵抗を作品を通して表現しています。

作家ホームページ

半田 颯哉

1994年静岡県生まれ、広島県出身。2019年東京藝術大学大学院美術研究科先端芸術表現専攻修士課程修了。

主な個展に「public void()」(東京藝術大学 大学会館展示室/東京/2018)、グループ展にポスト技術立国(ギャラリー小暮/東京/2019)、トーキョー・ストリート・ビュー(Red and Blue Gallery/東京/2019)、「CODES OF CONDUCT: CODING BODIES, DECODING DIGITALITY」(CLEAR GALLERY TOKYO/東京/2018)など。

 

 半田は、「理想や信念のないまま社会は変革されない」を標榜し、特に戦後日本を支えた科学技術を日本のアイデンティティの一つとして、技術と社会の関係を批判的に捉える作品を制作しています。またアーティストとしての活動の傍ら、東京大学大学院にて日本のニューメディアアート史を研究し、自身を含む現代のアーティストに繋がる歴史の土台を築こうとしています。

 本展では日本人の持つ歪なアイデンティティ意識に特化して着目し、日本人の中に内在化された白人至上主義や欧米への憧れ意識を描き出すことで、東アジアの一国としての「日本」の再構築を試みています。政治的、歴史的、宗教的な要素の組み合わせによって作られた作品は、日本人に対しては自身の持つアイデンティティに疑いを、日本以外の東アジア人に対しては歴史の連想を、欧米人に対してはアジア人の持つ多様性を突き付けるといったような、見る者によって与えられる印象が異なる多重性を持っています。